この8月、終戦75年を迎えた。現在90歳になる女性の体験手記に触れる機会があった。
「まだ戦争は終わっていません」という。
当時15歳、米軍が迫る中、重傷の叔父を置いて逃げた。「戦争が終わったら、迎えに来てくれよ」 それが叔父の最後の言葉になった。その叔父の声が、今でも耳朶から離れないという。
婦人は「私の体験を、次の人に継なげてください。その時が私の終戦日です」と語った。 75回目の「終戦の日」を過ぎてなお、戦禍に苦しむ方々がいる。
「次の人」が立ち上がってこそ、真の終戦は訪れる。
私は戦争を体験していないが、親から戦争の悲惨さは聞いている。私も「次の人」の一人でありたいと思う。
原口