日本から8100キロ離れた地で

少し前の新聞で、第2次大戦中に多数のユダヤ難民を「命のビザ」で救った外交官杉原千畝がビザを発給した地、リトアニアのカウナスの「杉原記念館」が新型コロナウィルス の影響で存続の危機に陥り、苦境を知った日本の有志がクラウドファンディングで呼び掛け、約2カ月で目標額の800万円を上回り約1050万円の寄付金が集まったとの記事を読みました。

 

10年近く前、リトアニアのカウナス出身のお友達ができたのと時を同じく、TVで杉原千畝の功績をまとめた番組を見て、リトアニアという国や杉原千畝に興味が湧き、いつか杉原千畝記念館を自分の目で見てみたいなと思うようになりました。

 

そして何年後かにリトアニアに行く夢が叶い、杉原千畝記念館に訪れる事ができたのですが、その時にとても素敵な老夫婦に出会いました。

 

杉原記念館のある場所は、カウナスの鉄道駅から少し離れた丘の上の住宅街にあるのですが、途中で道に迷いそうになってしまいました。その時、丘の上につながる階段に腰かけた1組の老夫婦が私に気づき、『日本人?千畝の家に行きたいの?』と声をかけてくれました。
『はい。でも迷ってしまったようで…』と答えると、『この階段を登り切って左に行くと千畝の家がありますよ。素敵な時を過ごしてください』と穏やかな笑顔で案内してくれました。
『教えてくれてありがとうございます』と伝えると、『こちらこそ訪れてくれてありがとう』と言ってくれました。

 

 

この老夫婦は杉原千畝記念館を訪れる観光客が道に迷わないように、いつもここで案内をしてくれているように見えました。些細な出来事ですが温かい気持ちになったのを覚えています。

 

【杉原千畝記念館】

 

【杉原千畝執務室】

 

コロナ渦で困難が世界を覆う中、このような寄付やクラウドファンディングの活動は改めて素晴らしいなと実感しました。記念館が存続の危機を免れた事で、あの親切な老夫婦が今後も道案内を続けてくれたら嬉しいなと思います(^-^)

こじこ